「左心耳閉鎖術」で、血液サラサラの薬が不要になるかも‥

JACC: Asia誌オンライン版
(Asami M et al. JACC: Asia. 2023. DOI: https://doi.org/10.1016/j.jacasi.2022.11.003)より。

先進国では高齢化の影響で、心房細動に苦しむ患者が増え続けており、心房細動の患者は脳卒中のリスクが高くなります。

脳梗塞の原因となる血栓の多くが左心耳で発生することから、左心耳閉鎖デバイス「WATCHMAN」          (ボストン・サイエンティフィック)を経カテーテル的に左心耳に埋め込み、その入り口を塞ぐことで、脳梗塞の予防効果が期待されます。

デバイスを留置した後、45日間は抗凝固薬と抗血小板薬の服用が必要ですが、
45日時点で左心耳が適切に閉鎖されていることが確認できれば抗凝固薬は中止でき、その後抗血小板薬のみの服用(45日~6カ月は抗血小板薬2剤併用[DAPT]、6カ月後以降はアスピリン1剤)となります。

2021年10月には、一度留置したデバイスの再収納が可能になった新型モデル「WATCHMAN FLX」が発売されています。

JACC: Asia誌オンラインの結論 

多施設レジストリでの最初の日本の経験は、LAAC が安全で効果的であることを示しました。

ただし、周術期出血イベントは高齢者でより頻繁に観察されました。
従って、年齢に応じた LAAC(アジア人の左心耳閉鎖)後の投薬計画を検討する必要があります。

JACC: Asia誌オンラインの視点

実践に基づく学習能力:経皮的 LAAC は、心房細動患者の抗凝固剤に代わる安全で効果的な代替手段です。

ただし、アジア人、特に日本人での LAAC の使用について説明している報告はほとんどありません。

日本での最初の経験は、以前の研究と同様に良好でしたが、年齢別の分析では、80 歳以上の患者で有害事象の発生率が高いことが示されました。

TRANSLATIONAL OUTLOOK:この研究は、日本における LAAC の多施設登録からの最初の報告です。

私たちの結果は、LAAC の安全性と有効性を支持し、高齢患者の術後の投薬計画を再調査する機会を提供します。

アジア人集団における LAAC の有用性を実証するには、さらに大規模で長期的な追跡調査が必要です。